極艶恋~若頭は一途な愛を貫く~
粉糖を纏い、生クリームとミントの葉が添えられ、もみの木とジンジャーブレッドマンのアイシングクッキーで可愛らしく飾られていた。

指示通りの盛り付けに実乃里が頷けば、伊藤はドリンクと一緒に客席に運ぶ。

もうひとりのアルバイト店員の若い女の子はドリンク担当で、注文と会計と調理の一部を実乃里がこなしていた。


「申し訳ございません。そちらの商品は品切れとなってしまいました。ペッパーシュリンプと五種の野菜のサンドイッチはいかがでしょう? こちらも人気メニューです」

「へぇ、美味しそう。じゃあそれふたつと、ホットの豆乳ラテとコーヒーお願いします」

「かしこまりました。横にずれてお待ちください」


笑顔で汗を流しながら客対応する実乃里の視界の端に、カウンター席で食事をしている女性のひとり客が映った。

膝丈タイトスカートのオフィススーツを着た彼女は、寒そうにショールを羽織り直している。

ひっきりなしにドアが開くので、エアコンを高温設定でフル稼働させていても、店内がちっとも暖まらないのだ。


「少々お待ちください」と一旦レジ前から離れた実乃里は、膝掛けブランケットを手に、カウンター席の女性のもとへ。

「店内が暖まらずすみません。こちらをお使いください」とブランケットを渡し、すぐにレジに戻る。


(玄関の改修が必要かも。二重扉にする? でも、それだとさらに狭くなっちゃう。どうしようかな……)


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