極艶恋~若頭は一途な愛を貫く~
テレビの影響が、この先どれくらい続くのかわからない。

今、訪れている客の中には、話題の店に一度行ってみたかったというだけの人や、通勤や通学、買い物でもこの通りを利用しない遠方からの人もいるだろう。

そのような客はリピーターになってくれないと思われ、今後の客足は減っていくと予想される。


大繁盛に有頂天にならず、実乃里はシビアに現実を見ていた。

増員したアルバイト店員は三カ月の短期契約にしており、玄関の改修ももう少し様子を見てからにした方がよさそうだ。

寒さ対策はテーブルの下にヒーターを置くのがいいかもしれない。


どんなに忙しくても実乃里は手は抜かず、来店してくれるひとりひとりの客に感謝を込めて丁寧に接客している。

けれども中には、実乃里から笑顔を奪うような困った客もいた。


「やあ、実乃里。今日も可愛いなぁ。コーヒーひとつ」

「かしこまりました……。満席なのでテイクアウトでもよろしいですか?」

「もちろんいいよ。座る気ないから。いつものように実乃里の側で立って飲む」


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