極艶恋~若頭は一途な愛を貫く~
溜まった涙が流れぬうちに、ブラウスの袖でグイと拭り、実乃里は笑顔を作る。
泣いて困らせ、帰りたい気持ちにさせないように明るく話しかける。
「龍司さん、お腹空いていませんか? 人気商品は売り切れなんですけど、なにか作りますよ」
「それなら卵サンド、頼めるか」
「胡椒とマスタード抜きで」と言ったふたりの声が重なり、同時に笑い声をあげる。
(龍司さんが声を出して笑ってる。笑わない人かと思っていたのに、違うんだ……)
どうやら龍司の方も、三年前となにも変わっていないわけではないようだ。
あの頃より表情が穏やかで、暗い影がなくなったように思う。
これが龍司の素顔なのかもしれないと実乃里は感じ、潜入捜査から解放された彼の今にホッとしていた。
テーブル席は壁際の座席が、ひと繋がりのベンチシートになっている。
そこに龍司を座らせて、実乃里は調理場へ。
この店のメニューにある卵サンドは、生クリームを加えてマヨネーズなどで味つけした、フワフワの厚焼き卵をサンドしたものである。
それを作っては意味がないので、三年前にロイヤルで出していた、ゆで卵を潰したタイプの卵サンドを再現し、コーヒーと共に龍司に出した。
四角いカットの仕方も、盛り付けも、全く同じである。
泣いて困らせ、帰りたい気持ちにさせないように明るく話しかける。
「龍司さん、お腹空いていませんか? 人気商品は売り切れなんですけど、なにか作りますよ」
「それなら卵サンド、頼めるか」
「胡椒とマスタード抜きで」と言ったふたりの声が重なり、同時に笑い声をあげる。
(龍司さんが声を出して笑ってる。笑わない人かと思っていたのに、違うんだ……)
どうやら龍司の方も、三年前となにも変わっていないわけではないようだ。
あの頃より表情が穏やかで、暗い影がなくなったように思う。
これが龍司の素顔なのかもしれないと実乃里は感じ、潜入捜査から解放された彼の今にホッとしていた。
テーブル席は壁際の座席が、ひと繋がりのベンチシートになっている。
そこに龍司を座らせて、実乃里は調理場へ。
この店のメニューにある卵サンドは、生クリームを加えてマヨネーズなどで味つけした、フワフワの厚焼き卵をサンドしたものである。
それを作っては意味がないので、三年前にロイヤルで出していた、ゆで卵を潰したタイプの卵サンドを再現し、コーヒーと共に龍司に出した。
四角いカットの仕方も、盛り付けも、全く同じである。