一生に一度の「好き」を、全部きみに。
もう遠慮はしない。迷わない。葵を手放してたまるか。何年経っても、葵への気持ちは変わらなかった。
だったらさ、そばにいるしかないじゃん。たとえ葵が俺のことを好きじゃなかったとしても、もう一度好きになってもらえるようにがんばればいいだけだ。
手放すくらいなら、何度でもぶつかる。
手の届く距離にきたんだ。
ツラい思いは二度とさせない。今度はもっと、きっと寄り添えるはず。
「俺、葵のこと真剣に好きです。今日までずっと忘れられませんでした。だから、すみません。目覚めたら一番に気持ちを伝えます」
ふたりにそう宣言してから、さらに深く頭を下げた。
認めてもらえないかもしれないけど、それでもいい。時間はたっぷりあるんだ。
葵は必ず目覚める。手術は成功する。
「鳳くん、ありがとう。葵もきっと、喜ぶよ」
「悔しいですが、ふたりの気持ちの強さだけは認めましょう」
ここにいる誰もが葵を想って、手術の成功を心から願った。