同窓会〜あの日の恋をもう一度〜
ご両親のやってるお店の事を思い出して、勇気を出してお店に行って西田の事を聞きに行ったんだ。

でも、西田が引っ越し先や連絡先を誰にも言わずにいるのは、これ以上俺達に関わって傷付きたくないからじゃないかと言われて何も言えなくて……。

俺、ずっと後悔してた。
連絡網を回したけど電話が繋がらなかったなんて嘘ついた事。

そのせいであんな事になってしまって……。

ご両親に謝罪もした。
西田は、妹の医療費の事もあって、県立に進学したかったって事をその時初めて聞いた。

本当にごめん」

坂本の言葉に、私はどう反応すればいいのだろう。
あの時、どんなに私が連絡網が回って来てないと声を上げて訴えても、目の前にいるこの人は『電話をかけたけど繋がらなかった』と言い切ったのだ。
それも、二回。

あの一件を重く見た学校側は、翌年から連絡網をメール配信する事にした。
個人情報漏洩を危惧する保護者の声で、それまで連絡網のメール配信案も何度か出ては却下されていた。
けれど、今後またこの様な事態が発生した場合の責任が取れない為、学校側が強行手段に出た。
卒業間際に連絡があり、以降はずっとそれで運用していると言う。


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