同窓会〜あの日の恋をもう一度〜
私は黙って坂本を見つめた。
いつもの坂本らしくない、泣きそうな表情(かお)で、私を見つめている。

私が口を開かないからか、間が持たないのだろう。

「何を言っても言い訳にしか取って貰えないかも知れないけど……。

卒業した年の夏休みに、プチ同窓会をやったんだ。
俺達学生だし小遣いなんて限られてるからカラオケ屋に行って三時間歌い放題で集まる程度だけど、最初の頃はみんなまあまあ集まりが良くて。

でも必ず話題になるのは西田の事だった。
話題に上る度に、俺の吐いた嘘がバレるんじゃないかと毎回辛かった。

でも西田はあの時もっと辛い思いをしたんだと思ったら、もし嘘がバレた時にみんなから非難されようがどうでも良かった。
俺よりも西田の方がよっぽど辛い思いをしていたんだから。

高三の時に、西田の妹が入学して来た時は心臓が止まるかと思った。

あの時も俺は生徒会の役員をやっていて、職権濫用して妹の連絡先を学校で調べて、こっそり西田の顔を見に行ったんだ」

坂本の懺悔から一転して、今度は意外な事をカミングアウトする。

「アパートまで行くと、ストーカーと思われたくなくて行けなかったけど、中間や期末で下校時間が早かった時に、学校の近くまで行って、校門から出て来る西田を見に行ってたよ。
タイミングが悪くて一度も顔が見れなかったけど」

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