同窓会〜あの日の恋をもう一度〜
坂本に言われ、当時の事を思い出す。
そう言えば私が通っていた女子高は当然ながら男っ気がないので、何処其処の誰々がカッコいいだの噂話は絶えなかった。

その中でもやはり坂本の話題もよく聞いていた。
同じクラスでバスケ部の子が、対外試合で坂本に一目惚れしたからと告白して振られた事も聞いていた。

いつだったか忘れたけれど、高校の近くで坂本を見かけたと噂になった事があった。
私はそれを聞いた時、坂本に会いたくなくて何度か裏門から帰った記憶がある。
だから坂本の言う様に、高校時代は一度も顔を合わせる事はなかった。

短大に進学した時に何人かは同じ中学校の子もいたと思うけど、外部からの進学組とは余り親しい人も居なかったので、接点はなかった。

そうして妹と私の卒業を待って、両親は田舎の温泉街の古民家に引っ越して行った。

由美は節目毎に小まめに連絡をくれていたので、両親が引っ越しする事、私も一人暮らしを始める事を話していた。

今まで沈黙を貫いてくれていた由美に、何を言って私との接点を作ったのだろう。

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