同窓会〜あの日の恋をもう一度〜
何としてでも西田の現在を知りたい。
何でもいい。誰か、西田が今、何をやっているか知っている人間はいないだろうか。

あの時のすれ違った後ろ姿の残像が、忘れられずにいた。

十月の新人戦に向けて、二学期に入ってから担当しているバスケ部の練習にもより一層熱が入る。

俺は学生時代、バスケ部に所属していた事もあり、指導と称して自分も一緒になってバスケをしたりしていた。
経験者と混じって練習する事で、少しでも生徒達の実力が向上すればとの思いからだ。

俺自身、学生時代に先輩達と一緒に練習して技術をたくさん勉強した。

生徒達と一緒にウォーミングアップから始め、試合形式で俺も本気でコート内を走り回る。

毎日クタクタになるまで練習し、生徒達が帰宅するのを見送ってから俺も帰宅する。

そんな日々を過ごしていたある日、ボーナス預金の運用セールスにやって来た銀行に勤務する同級生に捕まった。

生徒達には自主練習を言い渡し、俺は体育館の外でその同級生と話をしている時だ。

「そう言えば西田結衣の事、覚えてる?」

唐突に西田の話題になって俺は驚きを隠しながらも平静を装った。

「ああ、もちろん」

忘れる筈がない。
今でも胸にあの日の後悔を刻んでいる。
西田の事を何か知っているのだろうか。

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