同窓会〜あの日の恋をもう一度〜
 新学期も始まり坂本も忙しく過ごしている中で、こうやってまめに連絡をくれるだけでもありがたい。
 そう思わなければ。

 私の勤務する三上税理士事務所も、年が明けてから取引先企業や個人事業所等の確定申告が始まるから毎年三月中旬までは毎日が残業となる。
 この事務所には三上先生以外にも税理士の資格を取得している人は何人かおり、その人たちの元で指示を受けて作業をするので、税理士さんが仮に体調不良でお休みをしても大丈夫な体制は取られている。
 時期的にもインフルエンザも流行の兆しを見せているだけに、私達も体調管理に気を付けなければならない。
 坂本も今年は一年生の担任とは言え、生徒との接触でインフルエンザの感染リスクもあるだけに心配は絶えない。

 そんな中、ようやくデートが実現したのはバレンタインデーの日だった。

 あの日から一か月半近く経っている。バレンタインの日は生憎平日で、お互い残業は確定していたけれどこの日は十九時に帰らせて貰う事になった。

「せっかく彼氏が出来たんだから、今日くらいゆっくり会いなさい」

 三上先生がこそっと耳打ちするので私はびっくりした。
 彼氏が出来た事は誰にも言っていない。どこでバレたのだろう。
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