同窓会〜あの日の恋をもう一度〜
 車が停車したのは、私の想像通り郊外にあるショッピングモールの駐車場だった。
 敷地内にある飲食店の駐車場はショッピングモールと共有で、平日の夜とは言えバレンタインデーだからかそれなりの台数が停車していた。
 坂本が案内してくれる店内も、窓越しから見てもカップルで溢れている。こんな時間にやって来て、果たして座席はあるのだろうか。
 店のドアを開けると、フロアスタッフがやって来た。

「すみません、予約していた坂本ですが」

 坂本がホール担当の男性に声を掛けた。
 え、予約してくれていたの? 私は驚いて思わず坂本の横顔を見つめた。

「ようこそいらっしゃいました、坂本様。お待ちいたしておりました。お席へご案内致しますのでこちらへどうぞ」

 私は訳が分からなくて、男性店員と坂本の後に続いて座席へと向かった。
 一体いつ、予約を入れたのだろう。
 ここは地元でも人気のあるお店で、予約なしではなかなか座席の空きがないと聞いている。
 このショッピングモールも車を所有していない私はバスでしか来た事がないので、この時間に車でやって来れたことで内心興奮していたのだけど、こんなサプライズがあるなんて思ってもみなかった。
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