同窓会〜あの日の恋をもう一度〜
「うん、車を買う時に大きいの選んだんだ。
 部活動で生徒を乗せたりするし、遠出する時って大きい車の方が楽だからね」

 嬉しそうに話をする坂本を見て、きっと運転が好きなんだと思った。
 私は免許こそ持っているものの、それこそ身分証明書代わりとしか活用が出来ていない状態のペーパードライバーだから、こうやって運転をしている坂本を尊敬する。

 車がないと不便な田舎在住だけど、行動範囲が狭いだけに不便だとは特に感じる事はなかった。
 けれど、これからこうやって出掛ける機会が増えるのなら、私も運転が出来る方がいいのかも知れない。
 車こそ持っていないけれど、遠出する機会があるのなら、運転も交代で出来れば坂本にも負担はかからない筈だ。
 でもそれを今ここで口には出来ないので、もう少し付き合いも深くなってから相談してみようかな。

 車はビジネス街を抜けて郊外へと向かっている様だ。
 恐らくショッピングモールのある商業施設へと向っているのだろう。
 時間的にも飲食店で開いているのはその施設内にある複数あるお店のどれかか近所の居酒屋、ファミリーレストランのチェーン店位だろう。
 私は坂本の隣で、車窓から外の景色を眺めていた。

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