···もう一度だけ


メイソンは、蒼空とお風呂に入った。

蒼空の喜びようは、大変で
沙織は、複雑な気持ちだった・・

やはり、蒼空にはパパが
必要なんだろうか?
私だけでは、不安だったの
だろうか?
寂しかったのだろうか?

二人がお風呂から上がると
沙織は、一人でお風呂に入った。

いつも、蒼空と入るので
バタバタするのたが
ゆっくり入らせてもらった。

沙織がお風呂からあがると
蒼空は、メイソンの膝の上で寝ていた。

どうやら、メイソンに本を
読んでもらったようだ。

沙織は、メイソンにお礼をいって
『今日は、ベッドで蒼空と寝てあげて。』
と、伝えた。

『蒼空も喜ぶからと・・・』
メイソンから
『サオリは?』
と、言われて
『このソファーで充分よ。』
と、言いながら笑うと
メイソンは、心配そうにしたが
沙織は、笑いながら首をふった。

メイソンは、蒼空をベッドに
下ろして布団をかけて
寝室のドアを開けて
沙織のいるリビングに戻った。

メイソンは、沙織の元にいき
沙織の前に膝たちをして
沙織の両手を握りながら・・・

『サオリ。
妊娠して不安定なときに
辛い思いをさせて
本当にすまなかった。

アミとの事は、
サオリが見ていたようだけど
本当に、サオリに抱くような気持ちは
まったくなかったんだ。

同情?兄妹愛?
うまく言えないけど
だけど・・・
キスをしたいとか、
抱きたいとか
そんな気持ちも、まったくなくて
入院してるときもアミがいて
サオリがどんな気持ちで
いるのかと申し訳ない気持ちで
いっぱいだった
でも今は、何を言ってもダメだと
思っていたんだ。

ママやパパからも
叱られてアンソニーには殴られ
俺は大切な人達に、どれだけ
迷惑や辛い思いをさせたんだと
情けなかった。

信じてもらえないかも知れないが
俺は、サオリを今でも
変わらずに愛してる
大切で大事な人は、サオリだけなんだ。

もちろん、蒼空も大切だよ。
サオリ、もう一度、もう一度だけ、
俺をみてくれないだろうか?』

メイソンの目は真剣で
沙織は、メイソンにそんなことを
言われると考えてもいなかったから
驚いたが・・・
『メイソン、ごめんなさい。』
と、言うと、メイソンは落胆したが
『あっ、違うの。
きちんと、あの時
メイソンを責めて
理由を訊ねていたら良かったのに
私は、怖くて逃げたの
メイソンの中には
私はいないんだと
赤ちゃんがお腹にいても
メイソンが選んだのは
私でなく、若くて可愛い亜美ちゃん
なんだと。
そうなら、メイソンから離れようと
一人で、考えて
一人で、決めてしまった。』
『いや、あの時
アンソニーにも、アミにかかわるな
と、忠告されたのに。
アンソニーは、頼れる人も少ない中で
頑張っているサオリを
妊娠して不安なサオリを思って、
俺に言ってくれたのに。

俺は勝手に、
サオリと自分が崩れるとかあり得ない
と、思っていたんだ。
バカだろう?』

『そんなことない。
恋人でも、結婚して夫婦になっても
考えや気持ちは、口にしないと
通じるわけないんだよね。

そんな簡単な事も
おろそかにして
蒼空に寂しい想いをさせてしまった。』
と、涙を流す沙織。

『だけど、理由がなんであれ
沙織以外の女性を
抱きしめる必要はない。
本当に、何故あんな事したのかと
自分に情けなくて
自分自身を殴りつけたいよ。』

『正直、私は人から愛されることが
ない人間なんだと。
人を好きになることが恐かった。』
と、言う沙織にメイソンは、
こんな気持ちになるまで
追い詰めてしまって
申し訳なかった。

その事を何度も沙織にお詫びながら
沙織の涙を拭いて
唇にキスをした。

愛しそうに何度もキスをして
二人は、オデコをつけて
微笑みあった。

でも、恋愛を怖がってくれたおかげで
沙織を誰からも取られなかったと
ほっとする気持ちもあって
その事も沙織に素直に話した。

沙織も、もてるメイソンが
よく一人だったなぁと
思っていたら
『俺は、沙織以外
キスをしたいとも
抱きたいとも思わないから。
沙織以外は、女性じゃない。』と。

メイソンも日本へついたばかりで
眠いでしょうと
メイソンは、蒼空の横に

沙織は、ソファーに横になった。

まだ、はっきりやり直す事が
決まったわけではないが
今からは、二人で何度も
話し合って行きたい。
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