隠れイケメンの王子様に恋しました
部長さんは一体何者…?
ぼんやりとそんな事を考えているとじっと見てくる視線に気が付いてはっとする。

「あ、あの…」

「書類は確かに受け取ったよ。少し、君の事を聞きたいんだがいいかい?」

「私の事、ですか?」

にやりと笑う副社長になの葉は戦々恐々とする。
ぱさりと書類をテーブルに置いた副社長は肘を膝の上に置き手を組んで前のめりになった。

「君は入社2年目だったよね?ご家族は?」

「は、はい…両親と妹が一人…」

「今は独り暮らしだっけ?寂しくはない?」

「はあ、大丈夫です」

何を聞いてくるのかと思えば当たり障りのないことばかり。
家族の事や学生時代、工場のこと。
仕事は好きかと聞かれ、働いてる人の生の声を聞きたいだけなのかと思い当たる。

「はい、まだまだわからないことも多いですけどやりがいもあって好きです」

「そう、それは良かった。ところで、工場内に気になる人はいる?」

「気になる人……ですか?」

どういう意味だろうと首を傾げていると副社長は目を細め意味ありげな顔をする。

「例えば…」

バタン!とその瞬間勢いよくドアが開かれ誰かが入って来た。
びっくりしてその人を見たなの葉はまたびっくりして目を見開いた。

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