魔女狩り


あの時、レターがラウルと出会すことが出来ていれば…。















デザートレイン中央にまで潜入したラウルは広場に積み重ねられた武器を見て、デザートレインの陥落を目の当たりにしていた。


そして、それだけならば良かったのだが、そこにはラウルが見るべきものでないものがあった。


それは積み重ねられた武器の中央にあり、それは突き立てられた槍の上にあった。


…そう、それは紛れもなく賢君グリレイオスの首であった。












騎士ラウルにとって、賢君グリレイオスの首が晒し物になっていることは許し難かった。


本来のラウルであったら、グリレイオスの死をも受け入れたであろう。


だが、そのグリレイオスの死が侮辱されているという事実、その事実がラウルを冷静ではいさせなかったのだ。


そして、共に潜伏していた兵士の制止を振り払うと、ラウルは広場へと躍り出るのだった。


賢君グリレイオスの誇りと騎士の誓いを胸に…。


< 117 / 120 >

この作品をシェア

pagetop