魔女狩り
-9-
騎士団は撤退を開始した。
しかし、砂漠の民の軍勢は騎士達を追おうとはしなかった。
砂漠の民達は、盗賊さえ解放出来れば良かったのだ。
騎士達は続々と荒原地帯を抜けていった。
キリクは撤退しながら解放される盗賊達を見た。
そんなキリクの頭にはラウルのことが過ぎるのだった。
キリクは歯を食い縛り、馬を走らせた。
横を走るゼノスもまた、キリクと同じように歯を食い縛り、馬を走らせていた。
次の瞬間、ゼノスが砂漠の民に向けて馬を反転させた。
キリクは咄嗟のことに動きが遅れた。
キリクが馬を反転させた時には、ゼノスの馬は遥か前を進んでいた。
キリクはゼノスの後を追った。
そして、俊敏性に富むキリクの馬は、即座にゼノスに追いつくのだった。
キリクはゼノスに止まるように説得した。
しかし、ゼノスは止まらず、その動きに気付いた砂漠の民らは、臨戦体制に入るのだった。