魔女狩り













閃光一閃













ゼノスの巨大は馬からずり落ちた。


ゼノスの体は砂漠の民より僅かに遠くで地に落ちた。


キリクは最初何が起きたのかわからなかった。


そして、ゼノスには既に意識がなかった。





「その木偶の坊を連れて帰りな」


そう言ったのはキリクがオアシスで対峙したグレイオスだった。


キリクは気付かなかったが、グレイオスはずっとこの戦場に居たのだった。


とは言っても、グレイオスは戦闘に参加したわけではなく、緩やかな丘の上で高見の見物をしていたのだった。





キリクはゼノスの元まで近付くと、その巨大を持ち上げた。


そして、グレイオスに一礼するとキリクは踵を返し、全速力で荒原地帯を抜けるのだった。


グレイオスがここでゼノスの意識を飛ばしていなければ、ゼノスは確実に死んでいただろう。


そうすれば、ラウル、ゼノスの敵討ちのためにより多くの血が流されたに違いなかった。


グレイオスは密かにこの事態を防いだのだった。





そして、そんなグレイオスがキリク達の城を訪れたのは、それからしばらくしてからのことだった。




< 19 / 120 >

この作品をシェア

pagetop