魔女狩り
#5
国王軍の分団長の名は、ゼオと言った。
そう、ニ年前のあの戦いでキリクに堕とされた、あの若い騎士だった。
ゼオは、キリクの一撃を浴び、馬からずり落ちたものの、運よく生き延び、気絶していたのだった。
気絶する前に見た、ゼオの最後の光景は、馬に股がる二人の騎士の姿であり、そんな裏切り者への復讐心が、ゼオの力の糧となっていた。
また、ゼオが火計を用いるのには訳があった。
ニ年前のあの戦い、目覚めたゼオが最初に見た光景は、燃え盛る炎と焼ける仲間の姿であり、それがゼオの脳裏に焼き付いていたのだ。
目には目を…、火には火を…。
それが、ゼオの標準的な考え方となっていた。
そして、今、…オーランドは燃える。