魔女狩り

#5



国王軍の分団長の名は、ゼオと言った。


そう、ニ年前のあの戦いでキリクに堕とされた、あの若い騎士だった。


ゼオは、キリクの一撃を浴び、馬からずり落ちたものの、運よく生き延び、気絶していたのだった。


気絶する前に見た、ゼオの最後の光景は、馬に股がる二人の騎士の姿であり、そんな裏切り者への復讐心が、ゼオの力の糧となっていた。







また、ゼオが火計を用いるのには訳があった。


ニ年前のあの戦い、目覚めたゼオが最初に見た光景は、燃え盛る炎と焼ける仲間の姿であり、それがゼオの脳裏に焼き付いていたのだ。


目には目を…、火には火を…。


それが、ゼオの標準的な考え方となっていた。







そして、今、…オーランドは燃える。




< 86 / 120 >

この作品をシェア

pagetop