俺様課長のお気に入り
途中、廊下で同期の坂田君に会った。
メガネの似合う素敵男子って、みんなから言われてる彼は、営業の次期エースと言われるぐらい頑張っているようだ。


「あれ?陽菜じゃん。何してるの?」

「ああ、坂田君。おつかれさま。今日から来ている営業課の新しい課長さんに、名刺とか書類を届けに行くところだよ」

「そっか。俺も今戻るところだから、一緒に行って呼んでやるよ」

「ありがとう」

「それより陽菜、金曜日の夜ってあいてる?」

「ん?金曜日?うーん……ちょっと無理だなあ」

「じゃあ、いつでもいいけど、他の曜日は?」

「うーん、私、すぐに帰らなきゃいけなくて。ていうか、私が早く帰りたいんだよねぇ」

「でも、陽菜って一人暮らしだっただろ?」

「うん、そうだよ。一応」

「一応って……もしかして、誰かいるのか?付き合っているやつとか」

「付き合ってっていうか、私の帰りを待ってくれてる子がいるから、少しでも早く帰りたいの」

「ケイ君ってやつか?」

「えっ?そうだよ。なんで知ってるの?」

「噂になってるから。そっかあ……」

どこか寂しそうな表情を見せた坂田君。

「でも俺、絶対に諦めないから」

そう言うと、坂田君は踵を返して今来た道を戻って行った。


諦めないって、何を?
ていうか、新しい課長さんを呼んでくれるんじゃなかったの?


夏美の牽制など必要ないのかもしれない……
無意識の鈍感力を発揮する陽菜に、こうしてまた1人肩を落とす男がいた。


坂田君、変なの。
あっ、それより早く岩崎さんに届けないと!!

気を取り直して営業課に向かった。
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