俺様課長のお気に入り
「陽菜」

改まったように呼ばれて、顔を上げた。

「俺じゃだめか?俺が陽菜とケイ君を幸せにするんじゃだめか?」

「えっ?」

「入社してからずっと、陽菜のことが好きだった。でも、ケイ君っていう彼氏がいると思ってたから、言えなかったんだ。
陽菜、俺のことも考えて。俺なら陽菜を泣かせない。さみしい思いも絶対にさせない」

坂田君は、私に熱い視線を向けていた。

「えっと……」

「陽菜が岩崎さんのことを好きなのはわかってる。今はそれでもかまわない。だから、俺のことも考えてみて。返事は今すぐとは言わないから」

「で、でも……」

「陽菜、俺2年ちかく片想いしてきたんだぞ。ゆっくり考えてよ」

「…………うん」

突然の告白に、すごく驚いた。
でも、坂田君の見たことのないような真剣な目に、自分もちゃんと考えないといけないと感じた。



「じゃあ、陽菜。とりあえず、ここからはいろんなことを忘れて、ケイ君と遊ぼうぜ」

「そうだね。ケイ君、行こう」

「ワンワン!」

ケイ君は、待ってましたと言わんばかりに興奮して立ち上がった。

「陽菜、リード貸して」

坂田君は昔、犬を飼っていたらしく、扱いにもなれていた。

「俺が飼っていたのって、中型犬だったからなあ。大型犬はやっぱりパワフルだなあ」

そう言って、楽しそうにじゃれ合っていた。

坂田君にたくさん遊んでもらえたケイ君は、すっかり仲良くなったみたいで、お腹を見せて寝っ転がっている。

「ケイ君、いっぱい遊んでもらえてよかったね」

ケイ君は尻尾をブンブン振って、私の言葉に答えた。

「本当に賢いやつだなあ。陽菜の話してることも、全部理解しているみたいだし」

「そうでしょ?ケイ君は私の自慢の家族なの!」

「そっかあ。いいなあ、ケイ君。俺もいつか、その家族に入れてよ」

坂田君の言葉に、胸が大きく弾む。

「ちょっと、坂田君?家族に入れてって……」

「ん?それぐらい、陽菜のことご好きだってことだよ。これから、陽菜に好きになってもらえるように、どんどんアピールしていくから」

坂田君って、こんなにストレートな人だったっけ?





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