俺様課長のお気に入り
「さて、今日はこれぐらいにしとくか。ケイ君、そろそろ帰るよ。また遊ぼう」

「ワン!」

公園を後にして、駅まで一緒にもどった。
もしかしたら、要君がまだいるんじゃないかと、落ち着かなくなってしまう。

「ひーな、あからさまにキョロキョロしすぎ。大丈夫か?」

「う、うん。ごめん」

「家まで送らなくていいのか?」

「大丈夫。すぐ近くだから」

「そうか。じゃあ、また月曜日に会社でな」

「うん。今日はありがとう。またね」

改札を通った坂田君の背中が見えなくなるまで見送って、ケイ君と自宅に帰った。



「ケイ君、ごめんね。私、頭の中がぐちゃぐちゃだ。好きになった人は他の人とデートしてて、同期の坂田君に突然告白されて……はあ。自分がどうしたらいいのか、わからない」

この日はあまり食欲もなく、ケイ君のお世話だけして、早目に布団に入った。





翌日も、なかなか気持ちを立て直せなかった。
気を抜くと、昨日見た、星野さんと要君が歩いていた姿を思い出してばかりだ。

「はあ……」

ため息の数もきりがない。

「クゥーン」

「ケイ君、ごめんね。私がこんなんで」

ケイ君にまで心配をかけるのが嫌になる。
何も手につかなくて、ケイ君のお世話と必要最低限の家事だけして、ぼーっとすごしていた。


お昼少し前になって、スマホがなった。

「もしもし」

「もしもし、陽菜ちゃん?」

「どうしたの?真美さん」

「陽菜ちゃんがどうしてるかなあって思って」

「家でぼーっとしてたよ」

「もう、陽菜ちゃんったら。そんなもったいないすごし方しちゃって。ていうか、なんか元気なさそうね?調子悪いの?」

「そんなことないけど……」

「陽菜ちゃん。今日は何か予定ある?」

「何もないよ」

「それじゃあ、うちに来ない?翔は出張でいないし、私もすごく体調がいいから、久しぶりにランチでもしよ。もちろん、ケイ君も連れてきてよ」

「うん。わかった」

「じゃあ、うちで食べよう。何かデリバリーでも注文しておくわ」

「ありがとう。じゃあ、すぐに準備して向かうね」

「はーい。待ってるね」

翔君と真美さんの家は、歩いて30分ぐらいで、ケイ君の散歩がてら行ける距離だ。

「ケイ君、真美さんの所に遊びに行くよ」

「ワン!!」

ケイ君のランチも用意して、出発した。



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