蜜愛婚~極上御曹司とのお見合い事情~
 昨夜、コーヒー牛乳を買って部屋に戻ってきた彼はまるで普段通りだったので、まだ余韻の中にいた私は無理矢理にでも自分の熱を冷まさなければならなかった。車の中でも、帰宅後もそうだ。


『明日の朝は俺を頼るなよ。おやすみ』


 家に着くと、いつもと変わらぬ言葉を残し、蓮司さんはさっさと自分の部屋に入ってしまった。


 あの熱い時間のあとで、たったそれだけ? おやすみのキスぐらいしてくれたっていいのに……。

 恋人同士になったように錯覚していた私は肩透かしを食らい、ただ衝動的にキスをしただけだという現実を自分に言い聞かせるしかなかった。


 ねえ、後悔してるの? もうキスしてくれないの?

 画面を指さす手の動き。長い腕、広い胸。職場で見る彼はスーツ姿の全身から色気が滲み出ていて、視線を逸らしていてもそこにいるというだけで鼓動が激しくなる。

 蓮司さんは橘部長になにやら確認したあと、さっさと営業企画部から出て行った。
 結局、私のことは一度も見てくれなかった。


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