蜜愛婚~極上御曹司とのお見合い事情~
でも昨夜はなかなか寝つけなかったので、蓮司さんを待つ間に私はいつしかまどろんでいた。
玄関ドアの音で飛び起きる。
「あ……っ、おかえりなさい」
「ただいま」
彼は久しぶりに花材を持っていた。
「接待の間、社用車に置きっぱなしにしてたから傷んでるかもしれない」
「大丈夫ですよ。数時間のことなら、水揚げすれば元気になりますから」
花の道具を取りに行きかけ、ふと立ち止まって彼の顔をじっと見つめる。彼の言葉が引っ掛かったのだ。
社用車って? 彼は電車通勤なのに。
「どうした?」
「いいえ」
きっと重要な取引先で、社長も同席されていたのだろう。そう解釈して、私は疑問を強制的に片づけた。
経営者一族の中で育ったせいか、機密事項の匂いを感じると、私は自然と一歩うしろに下がるようなところがある。
相手が自分に語らないことは、私が知るべきではないことなのだ。好奇心も持たず、見て見ぬふりをすること。相手の秘密を尊重することは暗黙のビジネスマナーだ。
そう心がけながら、自分が打ち明けてもらえるほど信頼されていないことに一抹の侘しさも覚えていたりする。小さな頃から慣れている感情だ。
玄関ドアの音で飛び起きる。
「あ……っ、おかえりなさい」
「ただいま」
彼は久しぶりに花材を持っていた。
「接待の間、社用車に置きっぱなしにしてたから傷んでるかもしれない」
「大丈夫ですよ。数時間のことなら、水揚げすれば元気になりますから」
花の道具を取りに行きかけ、ふと立ち止まって彼の顔をじっと見つめる。彼の言葉が引っ掛かったのだ。
社用車って? 彼は電車通勤なのに。
「どうした?」
「いいえ」
きっと重要な取引先で、社長も同席されていたのだろう。そう解釈して、私は疑問を強制的に片づけた。
経営者一族の中で育ったせいか、機密事項の匂いを感じると、私は自然と一歩うしろに下がるようなところがある。
相手が自分に語らないことは、私が知るべきではないことなのだ。好奇心も持たず、見て見ぬふりをすること。相手の秘密を尊重することは暗黙のビジネスマナーだ。
そう心がけながら、自分が打ち明けてもらえるほど信頼されていないことに一抹の侘しさも覚えていたりする。小さな頃から慣れている感情だ。