蜜愛婚~極上御曹司とのお見合い事情~
***

 翌週、私は急いでホテル事業統括部のミーティングルームに向かっていた。蓮司さんと打ち合わせ中の橘部長から「白川さんも加わって」という呼び出しを受けたためだ。
 橘部長の口調からして、よくない内容であることがなんとなくわかる。いったいなんだろう? 蓮司さんと橘部長と私、という不可解なメンバー構成に首を捻る。

 まさか退職勧告ではないだろう。

 先週の夜這い作戦がどうなったかというと、いたって健全なまま眠りについた翌朝、私たちは見事にふたり揃って寝過ごした。


『どうして起こしてくれなかったの!』

『俺もたった今起きたのがわかるだろ!』


 背中を向け合っていたはずなのに、目覚めたときの私たちはなぜかくっついていて、彼がうしろから私を抱くような格好になっていた。
 しかし時計の針が指す時刻はそのことにときめく余裕をくれず、私たちは朝食抜きで罵り合いながら駅に走る羽目になった。

 結局それは私のせいになり、「俺の睡眠の邪魔をするな」ということで敢えなく私は追放された。だからなにも進展しないままあのひと晩きりになり、私は元通り自分の部屋で寝ている。


 同棲を始めた頃の嫌われ作戦より、仲良くなりたくて頑張る今のほうが効果的な嫌がらせになっている気がするのはどういうことだろうか。


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