蜜愛婚~極上御曹司とのお見合い事情~
 挫けずに再び食い下がる。


「それじゃ場所を交替しましょう。私はどっちでもいけるので、私が左側に──」

「いいから早く寝ろ! 茄子の次は俺を衰弱死させる計画か?」

「そ、そんな言い方しなくたって……」


 さすがに涙目になり、私も彼に背中を向けた。
せっかく勇気を出したのに。可愛くなかったかもしれないけど、これでも迫ってるつもりなのに。

 しばらくいじけていると、不意に大きな手が私の髪に触れた。


「明日は友引だろ。披露宴二件掛け持ちじゃないのか? 早く寝ろ」


 やっぱり彼は私の仕事のスケジュールをちゃんと知っている。そう思うと、たったそれだけで私は満たされた気分になった。彼の言葉に微塵の甘さもないのに、なんだかとても幸せだ。


 そのまま微笑んでいる間に、いつの間にか私は眠っていた。




< 169 / 274 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop