蜜愛婚~極上御曹司とのお見合い事情~
***

 私が橘部長に相談したのは、それから土日を挟んだ月曜日だった。梅雨入り前の五月とジューンブライドの六月は挙式の人気シーズンで、週末の営業企画部は全員フル回転で大忙しなのだ。


「橘部長、今お手すきでしたら少しお時間をいただいていいですか? 相談したいことがあるんです」


 部長席の前に立ち声をかけると、橘部長は少し心配そうな表情を浮かべた。


「うん、今いいよ。どうしたの? 綾瀬さんのこと?」


 その言葉に、言った本人の橘部長も言われた私も同時に苦笑した。


「いえ。ちょっと、家の事情なんですが」

「わかった。別室で聞くよ」


 橘部長はプライバシーに配慮してそう言ってくれたものの、営業企画部にはオープンスペースの打ち合わせコーナーしかなく、同僚たちの耳が気になった。


「会議室エリアに移動しようか」


< 191 / 274 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop