蜜愛婚~極上御曹司とのお見合い事情~
廊下に出て周囲に誰もいないことを確認すると、私は歩きながら話し始めた。
「実は、数日前に父が倒れたそうなんです」
「えっ?」
顔色を変えた橘部長に「大丈夫ですから」と笑って手を振る。
「幸い一命は取り止めましたし、攻撃的な病気ではないんです。でも元の身体に戻して会社の指揮を執るのは難しいみたいで……。それで、母から帰ってきてほしいと言われたんです」
「そうか……。僕もショックだ」
橘部長は言葉を失ったようで、私たちはしばらく黙って歩いた。
「でも、経営者の家に生まれた者の宿命だね。だからそういう意味で、僕は白川さんに勝手に親近感を持ってたんだよね」
橘部長が私には特別優しい意味が今わかった。綺麗な目を見上げて笑いかけた。
会議室エリアは大会議室のほかに小会議室が何室か並んでいて、基本的には端末で予約して利用することになっているのだけど、空いていればイレギュラーの打ち合わせなどで適当に利用されている。橘部長は空室表示になっている一室のドアを開けた。
「ここでいいよね。誰か来たら退けばいいし」
その会議室は円卓になっていて向かい合うと距離が遠すぎるので、私たちは並んで腰かけた。
「実は、数日前に父が倒れたそうなんです」
「えっ?」
顔色を変えた橘部長に「大丈夫ですから」と笑って手を振る。
「幸い一命は取り止めましたし、攻撃的な病気ではないんです。でも元の身体に戻して会社の指揮を執るのは難しいみたいで……。それで、母から帰ってきてほしいと言われたんです」
「そうか……。僕もショックだ」
橘部長は言葉を失ったようで、私たちはしばらく黙って歩いた。
「でも、経営者の家に生まれた者の宿命だね。だからそういう意味で、僕は白川さんに勝手に親近感を持ってたんだよね」
橘部長が私には特別優しい意味が今わかった。綺麗な目を見上げて笑いかけた。
会議室エリアは大会議室のほかに小会議室が何室か並んでいて、基本的には端末で予約して利用することになっているのだけど、空いていればイレギュラーの打ち合わせなどで適当に利用されている。橘部長は空室表示になっている一室のドアを開けた。
「ここでいいよね。誰か来たら退けばいいし」
その会議室は円卓になっていて向かい合うと距離が遠すぎるので、私たちは並んで腰かけた。