通信制の恋
美人な白鷺さんと黒髪イケメンの天野くんが一緒に消えて行ったとあって、その後の教室はしばらくざわめきが収まらなかった。


それは私たちも同じで、杏樹ちゃんは興奮したように私に詰め寄ってきた。


「結!いいの!?白鷺さんに天野くん取られちゃうよ!?」


「杏樹ちゃん…天野くんは物じゃないよ。取る取られるとかじゃないし…。」


「何呑気なこと言ってるの!天野くんは絶対結のことが好きだって!好きじゃなかったらなんでメモのやり取りとか始めるのよ!」


「それは…」


そこまで言いかけて私はグッと唇を噛んだ。


何故天野くんは私とメモのやり取りをしてくれてたのか、それがどうしても分からなかった。


それに美人で有名な白鷺さんのご指名だ、その用事など容易に思いつく。


「白鷺さん、告白だと思うよ?」


「………」


「このままで、いいの?結…」


「このままでいいも何も、今までのが奇跡だったんだよ…。平凡な私が天野くんと接点を持てるなんておこがましいことだったんだよ…。」


「結…」


1ヶ月間天野くんとメモのやり取りができたのが奇跡なんだと私はそう言い聞かせて、心に芽生えた恋心を閉ざそうと決めた。


こんな平凡な私が天野くんの隣を歩く資格なんてなかったんだと。

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