通信制の恋
それからと言うもの私は徹底的に天野くんを避けるようになった。


夏休みまで残りわずかとなり、夏休み前には前期試験もあるため、試験を受験する資格を得るためにレポートにもより一層励んだ。


天野くんと白鷺さんのことを忘れるかのように。






あのお昼休みの後、天野くんは帰って来ず、午後の授業にも来なかった。


「天野くん、どうしたんだろうね…。私てっきり結のこと好きなんだと思ってたのに…」


「それは無いよ…。こんな私を天野くんが好きになってくれるなんて…」


「結はネガティブ過ぎ!可愛いんだから、自信持って!」


「で、でも…、白鷺さんには劣るし…」


「白鷺さんは美人、結は可愛い!系統が違うの!分かる!?」


力説する杏樹ちゃんに私はタジタジだった。





天野くんを避けると言っても同じクラスの同じ学年のため、履修科目が重なることがあり、教室が一緒になることがある。


そう言う時は前のように天野くんの定位置の席から一番離れた廊下側の一番前の席を陣取るようにしていた。


天野くんは私が避けていることに気付いているのだろうか…


「(これが普通なんだよ…)」



トントンと授業が終わった教科書類をまとめてリュックにしまおうと思ったら、自分の前に影ができた。

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