通信制の恋
午後のテストも終了し、私はテストの開放感から体を上に伸ばした。


「んーっ!終わったぁ!」


「やっとだね〜…、これで後は夏季休暇でしょ?」


「そうみたい。あ、でも、夏休み中に水族館への見学の行事があった気がするけど、杏樹ちゃんどうする?」


「私はもちろん行くよ。水族館なんてわくわくするじゃない!」



キラキラと目を輝かせて話す杏樹ちゃんに私はのほほんと緩やかな笑みを浮かべた。



「結も参加するでしょ?」


「うん。総合学習の出席日数が欲しいからね。あと、杏樹ちゃんみたいに水族館に行きたいから!」


「ふふ、理由は同じだね」


2人でふふふっと笑い合っていると、私の左隣から手が伸びてきて、ぐいっと引かれた。



「わっ!」


「結が参加するなら俺も行く。」


私を引っ張ったのはもちろん、直で自分の腕の中に私を収めて、少し不機嫌そうに抱き締めた。


「だから、女子の友情に嫉妬すんなって。」


「いくら仲のいい女子でも許せない時がある」


「杏樹ちゃんと話させてよ〜。」


ジタバタと直の腕の中で暴れてみると、案外スッと拘束は解けた。


「帰るときは一緒ね」


そう言って直は机に突っ伏してしまった。


「あらら…、拗ねたのかしらね」


「直…」


起こすのも忍びなかったため、私は直が起きるまでそばにいることにした。


直が寝ている間に教室の掃除を他の生徒として、その後は直の隣の席で読書をしながら直が起きるのを待った。
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