MIYU~シングルマザー二十歳,もう一度恋します~
「初めまして,春奈ちゃん。おじさんはママのお友達で,浜田裕一っていいます。よろしく」
彼は腰を(かが)めて,小さな春奈と目線を合わせてくれた。美優には彼のそんな優しさがすごく微笑ましくて,見ていて(なご)む。
「春奈ちゃん,可愛いしいい子だね。お母さんに似たのかな?お母さんも美人だもんな」
彼の言う「お母さん」が自分のことだと分かると,美優は謙遜(けんそん)した。
「いえいえ,そんなこと……」
「今日は一段とキレイだよ。もしかして,メイクしてきた?」
「はい。……分かっちゃいました?」
美優は照れ臭そうに苦笑い。でも,彼に気づいてもらえたことは嬉しくて。
「うん。美優は元がいいから,それくらいのメイクでも充分キレイなんだね」
「えっ?そうかなあ……」
「メイク」といっても,ファンデーションとリップだけの,本当にナチュラルメイク。それでも,「キレイ」だなんて。「元がいい」なんて!
(お世辞でも嬉しいし,お世辞抜きならもっと嬉しい!)
彼は本当に,女心をよく理解してるなあ,と美優は思った。そうでなければ,あんなに女性の心を打つ小説なんて書けないだろう。
「――ママー,おじさーん,どうぶつえんはー?」
早く行こうと()かさんばかりに,春奈が服の(すそ)を引っぱった。――よりにもよって,美優(ママ)のではなく,裕一のジャケットの裾を。
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