MIYU~シングルマザー二十歳,もう一度恋します~
そこで,母からの頼まれ事を思い出した。
「――あ,そうだ。裕一さん,こないだ電話でお願いしてた,母宛てのサインのことなんですけど。……今日,大丈夫ですか?」
「ママ,ばあばがどうしたの?」
興味津々で,春奈が訊いてくる。誰に似たのやら,この子は好奇心旺盛だ。
優しい美優ママは,もちろん知らん顔なんてしない。キチンと娘の好奇心を満たしてあげるつもりで,答えてあげた。
「ん?あのね,ちょっとばあばからお願いされてたことがあったの」
「ふうん?」
春奈の反応は,それだけだった。あとはやっぱり眠くなったのか,コックリコックリと舟を漕ぎ始める。
「――春奈,寝ちゃいました」
美優が運転席に囁くと,裕一は「そっか」と頷き,声を潜めた。
「着くまで寝かしといてあげなよ。――それより,サインのことだけど」
「はい」
「実はさあ,僕の方でサイン本,用意してきたんだ」
「えっ?」
美優は,あくまで小声で(大きな声を出すと,春奈を起こしてしまう!)驚いた。
「実はあたしも,母から本を預かってきたんです。『コレにサインしてもらってきて』って。……どうしよう?」
彼が既にサインしてある本を用意してくれているなら,母から預かってきた本はムダになってしまう。
けれどこの本は,母が読み込んでいる大事な本である。愛着のあるこの本にサインしてもらえなければ,母はガッカリするんじゃないだろうか。
「――あ,そうだ。裕一さん,こないだ電話でお願いしてた,母宛てのサインのことなんですけど。……今日,大丈夫ですか?」
「ママ,ばあばがどうしたの?」
興味津々で,春奈が訊いてくる。誰に似たのやら,この子は好奇心旺盛だ。
優しい美優ママは,もちろん知らん顔なんてしない。キチンと娘の好奇心を満たしてあげるつもりで,答えてあげた。
「ん?あのね,ちょっとばあばからお願いされてたことがあったの」
「ふうん?」
春奈の反応は,それだけだった。あとはやっぱり眠くなったのか,コックリコックリと舟を漕ぎ始める。
「――春奈,寝ちゃいました」
美優が運転席に囁くと,裕一は「そっか」と頷き,声を潜めた。
「着くまで寝かしといてあげなよ。――それより,サインのことだけど」
「はい」
「実はさあ,僕の方でサイン本,用意してきたんだ」
「えっ?」
美優は,あくまで小声で(大きな声を出すと,春奈を起こしてしまう!)驚いた。
「実はあたしも,母から本を預かってきたんです。『コレにサインしてもらってきて』って。……どうしよう?」
彼が既にサインしてある本を用意してくれているなら,母から預かってきた本はムダになってしまう。
けれどこの本は,母が読み込んでいる大事な本である。愛着のあるこの本にサインしてもらえなければ,母はガッカリするんじゃないだろうか。