過ぎた時間は違っても
明穂の姿も見えないけどどこにいるんだろう。勉強は付いていけているのかな。明穂の心配をしていると、男の人は場所を体育館から屋上に変えた。すると、屋上の片隅に花束が何個か置かれていた。

「転入してきた男に手向けられた花だ。あの日、お前が校内を案内したという事実があの男を学校に馴染ませた。バスケ一筋だったあの男はお前を知っていたからクラスの話題に違和感無く入っていく事が出来たが、お前の存在が無くなった事によって入っていくための話題が見つからずに自ら命を絶ったんだ。お前と仲が良かった女はお前との予習復習の時間がなくなって授業についていけなくなり、不登校になっている。お前がいたおかげで助けられていた命もあったという事だな」

悲しみって無ければ良い訳じゃないんだ。
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