過ぎた時間は違っても
目立ちたくないから部活には入っていないけど、運動だって普通に出来る。小学校の頃、私も社交的で皆の中心にいるような存在だった。でも、そのせいで一部の女子から虐められた。他と違うのに良い気になるなと。だから中学校では人のいない場所で私だと分からないように体を動かしている。例えば兄のバスケの個人練習に付き合うとか。

「あっ!君はこの間の!」

「えっと・・・?」

この白い髪のせいで特別扱いをされるのが嫌だった私は髪色についての校則がない隣町の高校に入った。入学式で私に話し掛けてきた男の子があの時の彼だった事に気付いたのは兄のいる高校と練習試合があった数か月後だった。
体育館の端にある、観覧場所に私服で行くと、兄はいつも通り笑顔で手を振ってくれた。私も手を振り返したけれど、試合は私にとって絶望的だった。
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