過ぎた時間は違っても
七章・知らない再会

誰?

彼に初めて会ったのは中学校の時、兄の試合を見に行ったのが原因だった。持病のせいで神秘的な容姿をしてしまっている私はいつも帽子を深く被り、長袖と長いズボンの運動着を上下で着て出掛けていた。あまり目立ちたくなくて目立たない色を選んで着ているけれど、逆に目立ってしまっているらしい。姿を現しただけですぐに兄に見付かってしまう。兄が手を振る事で他の人にも気付かれる。
そんな私が時間ぎりぎりの電車に乗ってしまって急いで兄のいる体育館へ向かっていた時の事。観客として見に来ていた彼とすれ違い際にぶつかってしまった。大丈夫と訊かれながら手を差し出されたけれど、私は謝罪だけして会場に急いだ。ぶつかった時に帽子が脱げて驚かれてしまった。私の髪は中学生なのに真っ白。睫毛も眉毛もそう。目も家族も親戚も焦げ茶色なのに私だけ赤とも紫とも言える色をしていた。でも、他に変わった所はない。
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