過ぎた時間は違っても

これで少しは

何もせずに待った方が良いと部長に言われてはいた。そうした方が良いと俺も思ってる。でも、謝罪はしたい。出来る限りの力になりたい。

「唯織が悪いんだよ?・・・唯織が僕を裏切ろうとするから」

まだ時間があるだろう。そう思って飲み物を買うために彼女から離れた時だった。翔琉先輩と彼女のいる公園に戻ると彼女が図体の良い男に抱き締められていた。恋人がいたんだと一度思考が停止したけれど、すぐに動き出した。この公園に来たのは付きまとっている犯人を突き止めるためだったんだ。
翔琉先輩と一緒に駆け寄ると犯人は走り去っていった。どこかで見たようなという疑問がなかった訳じゃないけれど、今は彼女の安否が大事。俺は翔琉先輩の後を追うように彼女へ近付いた。
一瞬でも立ち止まってしまった自分に腹が立った。彼女の腹から血が流れていたんだ。俺は犯人を急いで追いかけた。
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