過ぎた時間は違っても
今の状況に慣れているのか、彼女を病院へ連れていくと抱き上げていた。病院へ連れていったらすぐ追いかけると後ろから叫んでいたけど、警察を呼んで大人に来てもらった方が良いんじゃないか。

「すみませんでした」

「唯織は犯人を知ってた。被害届も出して犯人も捕まった。もう、それで良いだろう」

次の日、翔琉先輩は校門の前で謝った俺を睨んだ。まるで放っておいてくれ、関わらないでくれとでも言うかのように。
翔琉先輩に言っても聞いてもくれない。そう思った俺は部活も終わった後、失礼も覚悟で彼女の病室に向かった。先客がいるだろうと思って急いで向かったけれど、病室には窓の外を眺めている彼女しかいなかった。
自分で会いに来ておきながら、彼女の顔を見ると引き返したくなる。でも、引き返す前に見つかって結局病室へ入る事になった。
< 152 / 260 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop