過ぎた時間は違っても

俺に訊かれても

「羽季ー。唯織を好きな人って誰だと思ーう?」

「たくさんいますよー。知りたいですかー?」

「えっ、そんなにいるのかい?」

唯織の家を出て、部長と翔琉先輩と一緒に高校へ向かっていると翔琉先輩が話し掛けてきた。確かに昨日、寝る前に話していた内容は気になる物だった。唯織の色恋沙汰についてだったのだから、兄として翔琉先輩が気になるのも無理はないだろう。
運動神経が良くてわりと難しい方であるうちの高校の授業にも付いていける唯織に思いを寄せている人は少なくない。ほとんどの女子生徒に告白された俺に思いを寄せていない点も、唯織が惚れられる理由の一つだ。本当に中身を見て決めてくれる、顔だけが全てじゃないと教えてくれると感じるそうだ。
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