過ぎた時間は違っても
彼女を屋上に連れ出して話を聞いてみる事にした。もしかしたら何か、隠したい事があるから笑っているんじゃないかと思ったんだ。

「大丈夫?」

「・・・大丈夫じゃない。保護されてすぐに両親に連絡してもらったの。そしたら両親が泣きながら電話に出てさ。また悲しませちゃったんだよね。翔琉も、両親も」

大丈夫かと心配すると、唯織はすぐに本音を話してくれた。連れ拐われて、愛を強要されて。誰の助けも来ないまま死を待つしか出来ない。俺には経験しないであろう恐怖なんだろうな。
ただ、やっぱり彼女から聞くのは普通の優しい両親だった。今日会った、冷たい二人とは違う。どういう事なんだ。
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