過ぎた時間は違っても
「あの両親が・・・?」

「あ、会ったんだ?冷たかったでしょ?」

ふっと溢してしまった言葉を聞いて唯織は笑った。でも、冷たいと知っているなら何で悲しんでいるなんて。生きて帰ってきたから悲しんでいるとかかな。流石に酷すぎるか。
じゃあ何で二人は泣いていたんだ。普通に考えれば生きて帰ってきてくれて嬉しいからとか、安心したからとかだよな。でも、俺の見た二人は決してそんな事を思うような人じゃなかった。連絡を取った所で素っ気ない返事をしそうな人だった。
やっぱり、俺の見た二人と唯織の言う二人がこうも違うのは何か理由があるのかな。平凡に暮らしてきた俺には分からないような、唯織の家族にしかない特有な何かがあるのかな。
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