過ぎた時間は違っても
何かあったのは確かみたいだけど、一緒にいるという事は明穂と明穂の兄の間で何かあった訳ではなさそう。友達か両親か。泣いている原因まで探ろうとは思わないけど泣き止んでもらわないとさすがにまずいか。人前だもんね。

「家来る?」

涙目で私を見た明穂は首を縦に振った。明穂の兄が一緒に来るのかどうかは知らなかったけれど、羽季の知り合いみたいだし付いてくるとなっても大丈夫か。三人を引き連れながらさっさと買い物を済ませて家に帰った。
母は状況を察しているのか分からないけど明穂と明穂の兄についてあまり触れてこなかった。話し掛けるとしてもいらっしゃい、後で飲み物とお菓子持っていくねくらいだった。
私の部屋に着くと、明穂の目からまた涙が溢れてきた。どうしたのか訊いても理解できる言葉を聞けそうになかったから、ただ宥める事しか出来なかった。
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