過ぎた時間は違っても
神様が起こした奇跡?それとも伊野家に産まれた現実が夢だったの?
どっちが本物だろうと今の世界では私は来栖家の子供。親子鑑定でもちゃんと立証されている。でも、私には一つだけ言いたい事があった。私が生きれなくなると泣いてくれた、運動できなくて危機感を持ってくれた羽季に一つだけ。

「私、動けるようになったよ。もう、バスケをしても倒れる事は無いんだよ」

「うんっ・・・、うん・・・っ!」

普通に動けるという奇跡、普通に生きているという夢みたいな現実が私の手の中にある。それだけで本当に嬉しかった。伊野 唯織ではないとしても、来栖 唯織であったとしても。私にとって昔みたいに羽季と運動できるという現実は幸せ以外の何者でもなかった。
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