過ぎた時間は違っても
ただ、まだ運動を全くしてはいけない訳じゃないらしいから安心している俺がいた。まだ動けているだけマシなのかなって、まだそばにいられる時間があるんだなって安心できたんだ。

「そっか、休日の練習試合だからその運動着でも良いのか」

「まぁね。やっぱりこの格好が一番落ち着くわ」

良かった、笑っている。運動するってなったら必ず着ていた運動着の長いズボンと長袖の上着、前につばが伸びた帽子がまだまだ元気であると言っているように見えた。腕捲りをする時に見える白い腕が少しだけ俺の心を苦しめるけれど、唯織の笑顔が掻き消してくれている。
この道がもっと長くて、行き着く先のない物だったら良いのに。このまま二人の時間がずっと続けば良いのに。
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