過ぎた時間は違っても
羽季の言葉に微妙な反応をしていると、降ってくるはずのない水が上から垂れてきた。室内だから雨ではないだろうし、雨漏りってほど量もない。水が落ちてきた場所を指で辿ると、羽季の睫毛に触れた。

「あれ・・・?泣いてるの・・・?」

「半年なんてあっという間なんだよ・・・?こんなに近くにいるのにもう二度と・・・っ、触れなくなるなんてっ!」

そっか、私が楽に捉えすぎているだけなんだ。もう少し悲しんだり、取り乱したりしても良いんだ。
確かに今日みたいに少しでも運動すれば呼吸すら辛くなって本当に亡くなってしまうんだと自覚できる。でも、普通に日常生活を送っているだけじゃ何も変わらないから余命宣告されても実感が沸いていないんだよね。
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