わたし、気付けば溺愛されてました。
けれど、今回ばかりはお父さんがいてくれなきゃ困る。
今、こんな体で司たちの面倒を見るなんて無理だ。
一日や二日なら司に頑張ってもらうが、この怪我がそんな短期間で治るわけがない。
『雫、今すぐは厳しいが、社長に相談してしばらく休みをもらうよ』
画面の向こうのお父さんが優しい表情でそう告げた。
「!?大丈夫なの!?先月帰ってきたばっかりなのに…。それに、お父さんにしかできない仕事、先週から任されたって言ってたよね…?」
たしかにテレビ電話で言っていた。
“めちゃくちゃやりがいのある仕事だ、がんばるぞ!”って…。
『心配するな、なんとかなる。ちゃんと安静にしておくんだぞ、雫』
「で、でも……」
「──雫さまのお父様、ご提案がございます」
不安が募るなか、ダンディーおじさまがゆっくりと近づいてきて、タブレットをのぞきこんできた。