レテラ・ロ・ルシュアールの書簡
「いったい、なんの話ですか? それに……他の皆はどうなったんです?」
僕は恐る恐る切り出した。緊張がどっと押し寄せてくる。
「ヒナタと燗海は死んだよ」
嘲笑いながら答えたのは、ハーティム国の将軍だった。
僕は、一瞬で頭が真っ白になる。
「嘘だろ。だって、あの二人だぞ」
怪物並みに強いあの二人が、死んだ? とても信じられる話じゃない。
「ヒナタは、立派な戦士だったよ。同じ国の者として、誇りに思うよ」
ミシアン将軍は柔らかい口調で告げた。僕は促す目つきを向ける。将軍はそれに気がついて話を続けた。
「彼女は利き手を失っていたからね。昔に比べれば血を操るスピードが明らかに落ちていた。それでも、速いことには違いなかったけどね。連合軍の兵士を片っ端から貫いていったよ。でも、私はヒナタと何度か一緒の部隊に配属されたことがあってね。彼女の技は全て見ていたから、弱点も知っていた。彼女は接近戦に弱い。といっても、そこらの兵士じゃ、とても太刀打ちできないが、私は反対に接近戦の方が得意でね」
「じゃあ、貴方がヒナタ嬢を?」
ミシアン将軍は微笑を浮かべたまま頷いた。