優しい彼と愛なき結婚
会社に行くレイと別れて、フリースクールに向かう。
レイから借りた襟のついたポロシャツと細身のパンツは少し窮屈だ。
アルバイト先の花林に歩夢が訪ねてきていると店長から電話が入り、俺はアルバイトを休むことにした。
不良と喧嘩して足を骨折したからと言う嘘くさい理由を吐いたつもりだったが、花林の店長もコンビニの店長もすぐに納得してしまった。
そういうわけで歩夢には悪いがアルバイトは休み、朝から晩までフリースクールに入り浸っている。
「おい、新入り。どうだ勉強してるか」
「うるせぇな」
「いいから、見せてみろよ」
10月からは新しいメンバーも増え、教え手の人手不足だったようでちょうど良かった。
「大悟、こっち来てよ」
時間が経って落ち着いたのか羽奈の機嫌も直り、相変わらず俺にべったりだ。
「なんだ?英語か?」
「明日、テストなの」
「どれ」
「テスト終わったらデートしよう」
「しねぇーよ」
デートか。
結局、一緒に住み始めてからはデートというデートもできなかったな。もっと夫婦らしいことをしておけば良かったかも。
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