優しい彼と愛なき結婚

具沢山のお好み焼きを食べてお腹がいっぱいになり、歩夢と大悟さんはキッチンに立つ。男2人で洗い物をしてくれるというから、素直に甘えた。

相変わらずサッカーの話をして盛り上がっているようだ。


「優里、幸せかい」


急須でお茶を入れている私におばあちゃんが聞いてきた。

湯飲みを差し出して笑う。


「幸せだよ」


「…私の借金のせいで大悟くんと結婚したのでははいかと心配もしていたが、すごくいい雰囲気だね」


おばあちゃんの視線が指輪に向いた。

昨日までそこに無かったものなのに、今はもう無くてはならぬものだ。


「借金のことは関係ないよ。私は大悟さんが好きで結婚して、彼が隣りに居てくれるだけですっごい幸せ」


嘘の混じった答えになってしまったけれど、幸せだと心から言える。


「そうかい…優里が幸せだと、とても嬉しいよ。天国の両親にも一番の親孝行ができたね」


おばあちゃんの言葉に頷く。
きっとお父さんもお母さんも結婚の経緯を見守ってくれていて、いっぱい不安にさせただろうけれど、今夜は安心して晩酌でもしているかな。


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