優しい彼と愛なき結婚

結婚。
寿退社する先輩方を見て、私もいつか…と彼氏がいない身分ながらも憧れていた。

幸せな家庭を築きたい。
父と母が私に幸せを与えてくれたように、私も。

月島家に嫁いだらお金に困ることもなく、上流階級の暮らしができるかもしれない。弟と祖母にとってもそれは良いことだ。

それでも。
借金を背負った身分だけれど、"愛"が欲しいと思ってしまう。


綾人さんと結婚しても大悟さんに甘えても、愛はない。


月島家には祖母の命を救ってもらったものと同然で、私たちは大切なものを失わずに済んだことも一生、忘れられない。


離れられない。


私は月島家から逃れられない。


< 24 / 240 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop