優しい彼と愛なき結婚
シャワーを浴びて、リビングに戻る。
大悟さんはソファーで目を瞑っていた。
起こさないように忍び足で近付くが、彼の携帯が鳴った。
「ん…もしもし」
手探りでテーブルから携帯を掴んだ大悟さんは目を閉じたまま、電話に出た。
「ん、ありがと。レイに任せるわ」
家族なのだから普通にお風呂から上がってきたと言えばいいのに、私はリビングの入り口で立ち止まっていた。
「了解。じゃ、また」
数言、交わすと電話が終わった。
「あがりました」
「お帰り。なんか飲む?」
携帯をソファーに落として、欠伸をしながら立ち上がった大悟さんは私の手からするりとバスタオルを奪った。
「髪、拭いてやる」
「じ、自分でできますよ」
「俺たち、新婚なんだから遠慮しない」
冷たい麦茶とドライヤーをもって戻ってきた大悟さんの体温を背後に感じながら、カーペットの上に座る。
「飲みながらリラックスしてくれればいいよ」
「ありがとうございます」
麦茶を渡され、ドライヤーの大きな音が部屋に響き始めた。