聖女の魔力が使えません!~かわりにおいしい手料理ふるまいます~


翌日は、獣退治である。
第一班は十名で構成される。広い森なので、三人組を三班組んで、残る一人を救護班として森の入り口に待機させた。フレデリックに残るように言ったが、むしろ体を動かしたいというので、アーレスは自分の班に組み込んだ。
後は力量をみて、均等に割り振った。技術的、体力的な面を考慮し、森の入り口から手前、中ほど、奥に範囲分けをして送り出す。
一番体力のあるアーレスの班は奥まで一気に進んだ。

被害は主に、狼による家畜への被害と、イノシシによる農作物被害だ。
農作物被害の方は割合深刻らしく、王都への出荷用を優先的に確保すると、自分たちの食べる野菜や果物が不足する状態なのだそうだ。

「団長、狼の群れだ」

「まず個体数を確認しろ。狩りつくしてしまってもいけないそうだ。半数をめどに駆逐する」

「また難しいこと言いますね」

狩るのならば、すべてを殺してしまった方がいっそ楽だ。

「仕方ないだろう。村に手を出すと痛い目を見る、ってことを分からせてやればいいんだ」

その一団は五頭の少ない群れだった。

「この人数でやれるな。フレデリック、セイムズ、俺が奴らを引き付けるから、お前たちは弓で狙ってくれ」

「はっ」

すぐに狼は騎士たちの気配に気づく。たかが三頭程度をしとめればいいだけだ。何の問題もない。

そう思い、侮っていたアーレスは、後ほど軽く後悔することになるのだ。

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